EDの治療方法

EDと交感神経

交感神経は、自律神経の一つです。英語では、「Fight and Flight 」と書きます。「闘争と逃走の神経」と訳されるように、ストレスに反応して、持続的な緊張や興奮をもたらします。意外かもしれませんが、勃起には、このような興奮や緊張ではなく、気分が落ち着いてリラックスしている状態が必要です。

交感神経が活性化していると、勃起しにくくなります。たとえば、会社での心配事やストレスが重なったり、初めての相手との性交渉のときなどに男性機能がうまく働かなくなるのはよくあることです。このようなときは、ストレスを減らすことによってEDが改善する場合もあります。

ただ、この場合は、ストレスが心に作用することによって勃起しにくくなっているのではありません。つまり、ストレスが体(器質)に作用して勃起しにくくなっているのです。交感神経が、適度に休んでいれば、EDになりにくいと言えます。さらに、交感神経が活発化していると、勃起しにくいだけではなく、眠りが浅かったり、なかなか眠れないというようなこともおきます。今の世の中、仕事のオンとオフがはっきりしない環境にあるため、どうしてもEDになる人が増えやすいのです。

ヨガや太極拳は、交感神経の緊張をほぐしてくれます。しっかりとした呼吸法を行なえば、セロトニンという幸せ感や満足感を感じる物質の濃度を高める効果があります。



もうひとつのED

多くの生活習慣病は、症状があらわれにくい傾向があります。何の前触れも無く、心筋梗塞などで倒れたりするケースもあります。しかし、EDの症状は、明確に自覚することができます。そのため、早期発見、早期治療することで、他の動脈硬化が原因で起きる病気も予防することが可能です。

EDとは、英語で「Erectile Dysfunction(エレクタイル・ディスファンクション)」と呼び、勃起不全のことだと言いました。実は、最近の研究で、EDの原因は血管内皮障害であることがわかってきました。EDのもう一つの意味とは、この血管内皮障害のことで、「Endothelial Dysfunction(エンドセリアル・ディスファンクション)」と呼ばれています。

動脈硬化の原因は、一酸化窒素の量が減ることにありますが、その一酸化窒素は、血管内皮から分泌されるからです。血管内皮からでる一酸化窒素の量が減少して、動脈が硬くなって、その影響を一番真っ先にペニスが受ける。これがEDなのです。そういう意味では、EDは血管の状態を改善することによって、必ずよくなる病気なのです。



EDと飲酒

会社帰りなどに同僚や仲間たちと、ぐびぐびとお酒を飲むと、一気に気持ちが開放されてリラックスした気分になりますよね。実は適量のお酒には酸化ストレスを減らす効果があります。なぜかというと、お酒を飲んだら、アルコールデヒドロゲナーゼという酵素が活性化します。

舌を噛みそうな名前ですよね。この酵素によって、活性酸素が分解されて酸化ストレスが減るのです。

適量のお酒は体に良いといわれる理由は、アルコールデヒドロゲナーゼがDNAを損傷させる活性酸素を消去して防ぐからです。さらに、血管が健康になって、勃起しやすくなるというわけです。したがって、適度な飲酒はED予防につながります。しかし、何ごとも行き過ぎは禁物です。

大量にお酒を飲みすぎると、アルコール分解酵素を働かせるために必要なビタミンB・ビタミンC・葉酸・亜鉛などの大切な成分が消費されてしまいます。これでは、逆効果になってしまいます。これらの成分は、勃起に必要な成分ですので、お酒を飲むときには、前もってビタミン剤を飲んでおくことをおすすめします。

また、翌朝、周囲にお酒のにおいで迷惑をかけないように気をつけてください。



EDと一酸化窒素(NO)

一酸化窒素は、血管を拡張させて、血流をよくして、血管の健康を保ちます。他にも多くの作用があります。たとえば、血圧を下げる、動脈硬化を予防する、気管を拡張する、胃壁を守る、腎臓の利尿作用を調整するなどの影響を及ぼしています。さらに、うつ病にも関係しています。

ところが、一酸化窒素が減ると、血管に損傷がおきて、生活習慣病やEDになる可能性が増えます。このように、一酸化窒素は体の重要な役割を果たしています。1998年に、3人の学者が循環器系における情報伝達物質としての一酸化窒素の発見にたいしてノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

F・ムラド、R・F・ファーチゴッド、L・J・イグナロです。一酸化窒素の発見は、医学史上、とても画期的なできごとでした。それまで、血管を拡張させる物質があることはわかっていましたが、それが何であるのかわかっていませんでした。EDを治すためには、一酸化窒素を増やせばいいということが遂に解明されたのです。



EDとサイクリックGMP

一酸化窒素には血管拡張作用があります。このときに、大切な働きをするのがサイクリックGMPと呼ばれる物質です。このサイクリックGMPは、一酸化窒素が血管や筋肉に作用したときにできます。つまり、血管や筋肉の弛緩は、このサイクリックGMPの働きによって起きます。

ところが、サイクリックGMPは酵素に分解されやすいのです。もともとED治療薬の効用としては、サイクリックGMPが酵素に分解されるのを阻止することでした。しかし、最近の研究でED治療薬には、一酸化窒素そのものを増やす働きがあることがわかってきました。

ここでサイクリックGMPが勃起を促進する流れを整理します。(1)一酸化窒素が血管や筋肉に作用する。(2)サイクリックGMPが産生される。(3)サイクリックGMPが血管や筋肉を弛緩させる。(4)弛緩した血管に多くの血液が流れ込む。(5)勃起が起きる。このようにサイクリックGMPには勃起力を高める働きがあります。<br>
<h3>EDと一酸化窒素(NO)</h3>一



衝撃波でED治療

「ED1000」という、結石治療に使われる対外衝撃波用いた療法があります。低出力の衝撃波を患部及び患部周辺に与えることで、血管を再生し、EDを治癒するというものです。平成23年春から帝京大学医学部付属病院泌尿器科でED1000による治験を開始しました。

久松伸一医学博士によると、1回20分ほどの衝撃波をペニスの5か所に当てる治療を、まず週2回の割合で3週間行なって、休みを3週間挟んで、また、週2回ペースで3週間行います。衝撃波といってもマイルドですから、ほとんど痛みはなく傷も残らないということです。

このED1000は、衝撃波による血管新生の効果に着目したイスラエルの医師によって始められました。朝立ちに代表される睡眠時勃起は、「ペニスの深呼吸」といわれ、真の勃起力を図る格好の目安になります。直径で20?30ミリを超える勃起があれば健康体ですが、ED1000の治療で、10?15ミリだった患者さんが20?25ミリに回復しているケースもあるようです。なかには、10年ぶりに朝立ちしたという患者さんもいたとか。



ノン・エレクト法

あべメンタルクリニックの阿部輝夫医院長は、心理面からアプローチする「ノン・エレクト法」でカウンセリングを行なっています。

心因性EDは、まず「勃起しなければいけない」というプレッシャーを取り除くことが先決です。治療は、本人とパートナーがペアで受けます。最初は、「勃起しなくてはいけない」という脅迫的な認識を捨てることから始まります。そのためには、「これから3ヶ月間はセックス禁止」と言い渡し、パートナーからも勃起を期待されることがない状態をつくります。

ところが、「勃起しなくてもいい」という気持ちになると、不思議なことに、逆に勃起してしまう患者さんが多数おられるそうです。ここで機能が回復したら、禁セックスの約束を破ってしまうことになり、治療終了になります。

さらに、本格的なノン・エレクト法に進むと、半勃起という最も敏感な状態のペニスを、根元を押さえて圧迫し、亀頭を充血させてから膣に挿入します。

その際に、亀頭部に膣のなかで得られる快感や温かさ、柔らかさなどを十分に学習させます。勃起から開放されたら、症状が改善する患者さんもおられるようです。



ペニスにつっぱり棒を挿入

「バキュームデバイス法」はペニスに吸引器具を装着して勃起を促進して、さらに、バンドで圧迫します。しかし、装着に10分以上もかかる上に、使用時間が30分以下に限定されるなど制約は多いようです。

「海綿体注射法」は、ペニスの陰茎海綿体にプロスタグランジンE1という血管拡張薬を注射します。想像しただけで、痛そうですね。日本では、自分で本剤を注射することが認められていないので、医師に頼まなければいけません。

また、男性ホルモン分泌の異常、減退が原因ならば、「男性ホルモン補充療法」という治療法があります。男性ホルモンに関する検査は病院で行なって、筋肉注射や経口在剤で補充します。

ペニスの血液の流れに問題がある血管性EDの場合は、外科手術という手もあります。血管性EDは動脈性と静脈性があります。動脈性EDは、動脈の支障が原因で海綿体に流入する血流量の低下を起こします。一方、静脈性EDは反対に、海綿体から出ていく血流量が過剰になる障害です。動脈性EDの場合は手術の有効率が8割以上なので選択肢のひとつにいれていいかもしれませんが、静脈性EDは有効率5割以下なのでお薦めできません。

動脈手術は、腹筋の裏にある下腹壁動脈をペニスの動脈に結びつけます。ただし、手術にはいくつかの適応条件があります。(1)55歳未満であること(2)喫煙者でないこと(3)糖尿病に羅漢してないこと(4)内陰部の動脈に閉塞が確認できること。

最後の治療手段がこれ!?海綿体に「つっぱり棒」を挿入する「陰茎プロステーシス手術」です。医師が個人輸入する曲げ伸ばし可能な棒状の器具を、日帰り手術で移植します。2ヶ月間はセックス禁止ですが、その後は、ほぼ90%以上性交が可能になるようです。しかし、自然な勃起の回復の可能性がなくなる、感染・びらん・器具の故障などで再手術が必要となる。特に、糖尿病コントロール不良例では感染リスクが高くなる、などの欠点があります。




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